英国 国民保健機関 Orkney 管区(National Health Service Orkney : NHS Orkney)

画像英国 国民保健機関(National Health Service:NHS) Orkney 管区の David Rendall 氏は、スタッフたちが抱える様々な問題点に対応するべく、Traction Software 社の TeamPage と NewsGator 社の NewsGator Enterprise Server を導入しました。一年後の今も、そのプラットフォームは大きな弾みをつけ続けています。NHS Orkney では、そのプラットフォームは外部ニュースはもちろんのこと、内部的なコミュニケーションと情報の一つの中心的な存在となっています。Rendall 氏は次のように話しています。Blog461: A Web That Works | NHS Orkney

TeamPage を使うことで、Email の量は思いっきり減りました。だからスタッフ全員なんていうメーリングりストはなくすつもりです。導入してから数か月で 1000 記事以上が投稿され、あるグループでは 170 以上のタスクが割り当てられ、完了しました。人材開発から治験サービス、IT までのいろいろなグループがプロジェクトの書類作成や業務フォロー、ユーザー マニュアルの作成などでコラボレーションしています。Traction Software 社と NewsGator 社、それぞれの技術を融合させることで、内部コミュニケーションの効率化と透明性を大幅に改善することができました。

NHS Orkney について

英国 国民保健機関 (NHS)は、1948 年に設立されました。そして現在では、世界で 4 番目の規模になっています。世界保健機関 WHO は NHS を世界で最も優れた保健機関の一つだとしています。NHR Orkney はスコットランドにおいて 600 人のスタッフでスコットランドでの総合的な保健サービスを提供しています。

変革のきっかけは?

2005 年、NHS Orkney において内部的なコミュニケーションに問題ありとする不名誉なレポートが配信されました。時を同じくして、ある上級執行役員が列車で移動中にEmailをダウンロードできずに激怒するという事件が起きたのです。その原因は、個人的な写真を添付した 9 MB のメールが全スタッフに向けて発信されたことでした。その上級執行役員は、ダウンロード時間の長さに辟易として、ついにはあきらめました。その結果、オフィスとコミュニケーションできない長旅を余儀なくされたのです。

これらは、紙ベースの書類、Email、そして体裁の好い(しかし管理強化されている)イントラネットポータルを組み合わせて内部的な情報を配信しようとするときにもっともよくある問題です。

NHS Orkney の IT 部は、こうした問題を解決するよう命ぜられました。これが古い体質の組織が、ブログ、Wiki、RSS フィードからなる機能性 Web に向かって第一歩を踏み出すチャンスとなったわけです。

プラットフォームの選定

まず完璧なソリューションの第一要因は Email のやり取りに仕事内容が埋もれないようにすることでした。NHS Orkneyの電子メールの使い方はひどいもので、余ったチケットの売り買いから、役にも立たない部門情報、そしてすぐにも解決しなくてはならない重要なものまで、すべてが電子メールでした。ノイズを減らし、重要なことが正しく伝わるようにすることが、すべての業務に必須な実現すべき事柄でした。

ポータル?

この手の問題解決を図る手段としてまずポータルが考えられましたが、すでにポータルがあってのこの状況です。滅多に更新されないポータル、どこに何があるかわからないポータルが。ポータルの運営にはそれなりのスキルと手間もかかります。

おまけに、優秀な Web マスターなどそうはいません。技術に詳しく、編集好きで、管理もいとわない人なんて。たとえ、その様な人を見つけて、雇ってみても難しいでしょう。たかがひとつのサイトの運営と言ってみても、その掌握範囲は他部門にわたり一人では無理で、何人かを付けてやる必要もあります。

技術的に難しく、範囲が広いとなれば、そのサイトの更新遅れは火を見るより明らかなことです。

グループウェア? ブログウェア?

Web マスターによる中央ポータルをあきらめて、次に考えられたのがコンテンツを自分たちで作成し、管理することでした。簡単なブログウェアから大規模企業向けグループウェアが検討の俎上に乗りました。

この経緯を Rendall 氏は彼のブログで次のように書いています。 Rendall のブログ

いろいろな製品(お金のかかるものかからないもの)を試しがっかりしました。どれもこれも、大きな組織でのマインドセットを理解していない製品ばかりでした。

  • ユーザー管理は社内ネットワークと統合できること
  • 多くの興味ある分野ごとのサブセットを自由に行き来できること
  • 細かく権限が設定できること
  • システム管理者の負担が大きくないこと
  • 実際のユーザーが好きに組み立てられること

私たちが TeamPage を選択した理由は、上記の各要求を満たしていたからです。Wordpressなどは、小さな外部からのアクセスを受けるブログとしては良い製品ですが、大きく使おうとすると管理がとても面倒です。マイクロソフトの Sharepoint はエンドユーザーが使うには難しすぎるし、拡張に際しての管理者の負担が恐ろしいほど大きい。NGES(ニュース ゲーター エンタプライズ サーバー)と同様に TeamPage は私たちに直感的にぴったりだと思いました。

Enterprise 2.0 プラットフォームに向けてジャンプ!

いろいろ検討した結果、NHS Orkney は内部的なコミュニケーションの問題解決に Traction Software 社の TeamPage の採用を決定しました。TeamPage はブログと Wiki のハイブリッドで企業内グループユースに向けて開発されたものです。

ブログは Web サイトの一種です。その会社のポリシーと社会的使命が許すのであれば、ユーザーはメッセージ、書類、画像、ビデオ、コメント、そしてその他のコンテンツをブログに直接投稿できます。メールを送ることと同じくらい易しいことですから、投稿に技術的な障壁はなく情報の自由な流れを実現できます。

そして、次第にシステムを大きくより使い易いもの変えていけます。深刻な問題から軽い話題まで、NHS Orkney のユーザーは TeamPage に投稿しています。例えば、

  • 紛失物届
  • チャリティ募金
  • ポリシーと手続き
  • プレスリリース
  • 営業時間のお知らせ
  • 健康留意事項
  • 採用
  • トレーニング
  • 売ります・買います
  • 書式類

「売ります、買います」の類の情報は企業活動にとって生産性を落とすかと懸念されますが、そんなことはないのです。この手のやりとりを禁じるよりも OK としたほうが、個人的な通信手段としてのメールへの興味を削ぎ、また、eBay への張り付きから引き戻し、コミュニケーションを活発にすることがわかりました。コミュニティの文化になります。

使い具合は?

伝統的な Web サイトでは、次の 2 つのメカニズムがあります。検索とナビゲーションメニューです。TeamPage は優れた検索機能があり、しかもそれはあたかもソーシャル タギングを思わせる方式で代用していて、昔ながらのメニューがありません。

メニューの作成、維持は面倒なことです。どうやって階層化するのか、新しく来た情報をその階層のどこに仕分けるかは難しいことです。もし作成した階層構造に収まらなければ、無理矢理どこかの不適切な分類の中に入れられてしまうのです。

TeamPage でのタグは単純なテキストのラベルです。そのラベルは Blog と Wiki の全体でいくつでも使うことができます。ラベルは必要であればその場で作成することもできます。TeamPage のラベルは各ワークスペース(各スペース)ごとに作成され、スペースを跨いで使うことが可能です。正に権限でコントロールされるソーシャル タギングといえます。

このタグを投稿者の名前、スペースの名前などと同様にブログを検索するときに使うことができます。複数のタグを結合させながら、スペースを行き来しながら必要なところへドリルダウンできます。あらかじめ階層構造を知る必要はありません。階層構造型整理メニューでは、コンテンツが増えるにつれ目的の情報に到達するために負荷が増え大量の情報を扱うことは無理です。

すべてのブログ ユーザーはタグを頼りにコラボレーションを行っています。セクションを使うとコンテンツの一部を、自由に並べ替えて表示できます。Wiki としても使えます。チームワークにより Wiki ページと添付ファイルが何回もやりとりされます。すべての旧バージョンのページやドキュメントを見ること、比較することが可能です。NHS Orkney のスタッフは TeamPage の Wiki 機能を使い、ドキュメントとユーザー マニュアルを作成しています。Wiki は業務がフラットで多岐にわたる企業では絶大な可能性を持っています。

実際の TeamPage では

NHS Orkney の TeamPage には 4 つのワークプレースがあります。治験情報、組織、求人と人事、そして最新ニュース/最新情報(ここを見ればすべてがわかる)の4つです。記事はすべてのメンバーに見える 11 のプロジェクトと権限が必要ないくつかのプロジェクトへ投稿されます。プロジェクトには治験情報から人材開発、IT、人事などがあります。

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IT ニュースページは IT プロジェクトに固有のワークプレースです。ここでは、最新の記事やコメントと同時に、パスワードポリシーに基づくそのリセット要求や Blackberr RIM 問題への解決策などが掲載されます。ラベルとその使われている記事数を見ることができます。

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IT Job Tracker と呼ばれる単一目的のプロジェクトがあります。その目的とは IT 関連の仕事の割り当てと完成、進捗のレポートです。To Do ラベルの付いた記事は、同時に一人以上の個人ラベルに付加されます。Done が付けられると、「最近の完成」セクションに表示されます。2007 年の 1 月にスタートしてから 5ヵ月間に、171 ページに Done ラベルが付与されました、一日に 1、2 件のペースです。そしてそれまでに割り当てられた仕事へのナレッジベースになるわけです。割り当てと完成日付などとともに。必要であれば割り当てられた人やチームを知ることもできるのです。一人ひとりの割り当て負荷やその活動履歴も調べられます。

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NewsGatorとRSSを使い、メールとWebとの調和を図る

通常のWebサイトに欠落しているものが2つあります。

(1) 新しい記事の投稿をどうやって知るのか?

(2) 読んだか読んでいないかをどうやって知るの?

現在では多くの従業員がTeamPageの投稿と閲覧を活発にする中で、外部の情報をモニタリングしています。しかし、その外部情報については新着を知るすべも、どのページまで読んだかを記録しておくすべもありません。

RSS フィードがそのギャップを埋めます。RSS フィードは、いろいろなサイトから情報を集め、スタッフに新着を知らせます。そして、フィードを集めるアグレゲータは個々人がどこまでのを読んだかを管理し、続きのページをマークします。

この個人記録がマシンによらずサーバーで管理しているところがすごいところです。特にヘルスケア部門ように部門を駆け回り、自分のパソコンすらないに等しい状況では特にありがたいことです。NewGator を使えば、ユーザーはどこからでもフィードを読むことができます。さらに、端末を問いません。Web ブラウザ、デスクトップマシン(PC/Mac)、PDA、携帯電話、何でもOKです。中央のサーバーがユーザー単位で読んだ、読まないを管理しているのです。

NHS Orkney のスタッフは内部的に TeamPage を読むのにも NewsGator を使っています。TeamPage からはデフォルトで重要なタグのついた記事のフィードがあります。ユーザーは独自のフィードを設定できます。ですから、個々に見えている情報は違い、一目で最重要が分かるようになっています。

NewsGator エンタプライズサーバーで、TeamPage からのフィードは、読み手の関心がある領域と緊急性でフィルタリングされます。TeamPage の治験サービスプログラムの RedAlert ラベルの記事は NewsGator で RedAlert にタグ付けされて配信されます。このタグは緊急に読まれ、他のタグはそれぞれのペースで読まれることになります。

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NewsGatorが扱うものは内部情報だけではなく、NHS に関連するサイトを含む多くのサイトのフィードが対象になっています。SHOW、NICE、NeLM、BMJ、BDJ、E-Health Insider、そして the National Library for Health などです。

結論

NHS Orkney では内部コミュニケーションだけでなく、外部ニュースを含めて中央で一元管理される参照ポイントとしてサーバーを持ったことになります。ここにあるすべてのコンテンツがユーザーのニーズに応じてフレキシブルな方式で安全に表示、配信されます。そして、汽車や電車の中でも、そして Blackberry から 24 インチディスプレイまで、すべての環境で使えるのです。

内部のコミュニケーション問題は解決されたのでしょうか?ここに Rendall のコメントがあります。

もちろん!社内スパムはびっくりするほど減りました。今は、スタッフ全員というメーリングリストとそのほかの大きなメーリングリストをなくそうとしているところです。ブログのコンテンツは増え続け、より多くのスタッフたちが協働して働くために使い始めている。

NHR Orkneyでは、ブログと Wiki がもっともっと普通に使われ、その技術をもってして、コラボレーションがオープンになり、コミュニケーションの輪が「知りたい!」から「知れる!」に変わる、その変化が NHS Orkney に大きな恩恵をもたらすことを望んでいる。

David Rendall のブログ A Web That Works
David Rendell のコメント Nudging Users Towards Consistency
Intranet Journal Story での共同執筆記事 Traction, Newsgator Weave a Web that Works | NHS OrkneyBlog461: A Web That Works | NHS Orkney Press207: 2007年 7 月 30 日 | IntranetJournal - TeamPage と Newsgator で使える Web を作り上げる | NHS Orkney

NHS Orkney 導入事例 Part II

この記事が書かれてからちょうど一年後、それは彼らが初期に TeamPage を導入してから2年後ですが、NHS Orkney は TeamPage 4.0 の採用と同時にユーザー数を増やしました。

詳しくは 英国 国民保健機関(NHS) - TeamPage 4.0 のソーシャル機能で Intranet 1.0 と Enterprise 2.0 を統合 をご参照ください。

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